カスタマージャーニーマップとは?作り方と目的を事例と解説【テンプレート付き】

カスタマージャーニーマップとは?作り方と目的を事例と解説【テンプレート付き】

カスタマージャーニーマップは、お客さまが商品を購入するまでにたどる体験の旅を図にまとめたものです。

企業にとっては、まさに施策を決定するための「地図」になってくれる、大切なフレームワークです。

この記事では、カスタマージャーニーマップの重要性や作り方、活用事例までまるごと解説します。

ビギニャー

シニヤン先輩~!この商品を売り出すためのマーケティング施策を考えているのですが、どこで何をアピールすればいいのか迷っていて……。商品はすっごくいいんですけど、どうしたらお客さまに魅力が伝えられますか!?


シニヤン

なるほど。商品開発やマーケティング施策の考案って、お客さまの思考や行動をしっかりと理解していないと難しいよね。カスタマージャーニーマップで、施策やお客さまとの接点を整理してみようか!


ビギニャー

カスタマージャーニーマップ!?なんですかそれ!カッコいいですね…!!

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップとは、文字通り「顧客の旅を示した地図」を意味するフレームワークです。カスタマージャーニーマップの作成は、顧客理解や戦略立案に欠かせません。まずは、カスタマージャーニーマップの基本的な知識を身につけましょう。

カスタマージャーニーマップの意味

カスタマージャーニーは、直訳すると「お客さまの旅」を意味する言葉です。そしてカスタマージャーニーマップは、お客さまの感情や購買行動、企業との接点などの顧客体験を図にまとめ、可視化したものを指します。

お客さまは、決していきなり商品の購入を決めるわけではありません。商品を知るキッカケがあり、多くの商品と比較しながら興味を深めつつ、実際にECサイトや店頭に足を運んで購入します。

カスタマージャーニーマップでは、企業が想定しているお客さま像(ペルソナ)の、自社商材との出会いから購入までの道のりを客観的に整理して、時系列順に可視化していくのです。

カスタマージャーニーマップの様式に決まりはなく、まとめ方は企業や商品によってさまざまです。この記事で基本的な構造をしっかりと押さえて、自社に合った形式にカスタマイズしながら活用してみましょう!

カスタマージャーニーマップの種類

カスタマージャーニーマップは3つの種類に分類できます。各種類の特徴や目的をみてみましょう。

タイムライン型

顧客の購買行動をタイムライン(時系列)で整理する、もっとも一般的なカスタマージャーニーマップの型です。目的に応じて、さらに以下の3種類へ分類されます。

  • マクロ型:マーケティングの全体像を掴むことが目的
  • ミクロ型:ユーザーの体験における課題抽出が目的
  • シナリオ型:MAツールに統督する顧客育成シナリオの策定が目的

サークル型

円形にカスタマージャーニーマップを作成し、時計回りに顧客の体験をまとめる型です。利用サイクルが循環する商品やサービスに向いています。

スペース型

地図上にユーザーの行動を書き起こして整理するカスタマージャーニーマップの型です。レンタカーなど、顧客とのタッチポイントと移動経路などを可視化したい場合に有効です。

シニヤン

カスタマージャーニーマップは、企業がマーケティング施策を考えるときの道しるべになってくれる、まさに「地図」のようなものなんだよ。


ビギニャー

たしかに!お客さまの行動や感情をまとめると、なんだか売上をアップするためのヒントが見えてきそうです!


シニヤン

次は、カスタマージャーニーマップの目的とメリットを詳しく見てみようか。

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カスタマージャーニーマップの目的とメリット

そもそも、どうしてカスタマージャーニーマップは必要なのでしょうか?ここでは、カスタマージャーニーマップを活用すべき3つの理由をご紹介します。

  • お客さまの満足度を向上させるため
  • お客さまとの接点を最適化するため
  • 関係者が共通認識を持つため

各理由を詳しくみてみましょう。

お客さまの満足度を向上させるため

カスタマージャーニーマップの最大の目的は、お客さまの満足度を向上させることです。商品を購入してもらいたいお客さま像(ペルソナ)を設定するだけでは、実際にお客さまがどのような行動を取り、どのような感情を抱くかまでは把握できません。

そこで、企業との接点ごとにお客さまの行動・感情を整理すれば、今まで見つけられなかったニーズや施策の課題に気づけるようになるのです。カスタマージャーニーマップで課題を解消することで、ネガティブな体験が発生するリスクを減らし、お客さまにポジティブな体験を積み重ねてもらえます。

その結果、お客さまが購買行動やサービスなどに感じる価値(CX)を向上でき、リピーターや口コミを拡散する優良顧客への育成が目指せます。

お客さまとの接点を最適化するため

お客さまとの接点を最適化したいときも、カスタマージャーニーマップが欠かせません。近年はマス広告だけではなくWeb広告やSNS、口コミサイトなどさまざまな接点からお客さまを獲得できるようになりました。接点が増えれば、それだけお客さまを獲得するチャンスが増えることにもなります。

しかし、反対に「自社に合ったお客さまとの接点がどれなのか」を判断できず、施策に迷ってしまう企業もあります。カスタマージャーニーマップを作るなかで、お客さま目線に立って行動や感情に寄り添えば、最適な接点が見えてきます。

  • 広告の場所はどこがいいのか?
  • どの(経路)チャネルがいいのか?
  • どのタイミングがいいのか?
  • お客さまはどう感じるのか?

以上を客観的に把握することで、より効果的にアプローチできるようになるでしょう。

関係者が共通認識を持つため

カスタマージャーニーマップは、関係者が共通認識を持つためにも重要なものです。企業が商品をお客さまに届けるときは、商品開発者や営業担当者、マーケティング担当者、カスタマーサポート担当者など、多くの関係者が力を合わせることになります。

その際、単に商品のコンセプトやペルソナを共有するだけでは、それぞれの担当者に認識のズレが生じてしまうおそれがあるでしょう。そこで、カスタマージャーニーマップで各段階の施策などを共有することで、関係者が連携して同じ方向を向けるようになるのです。

また、カスタマージャーニーマップで改善すべき課題を可視化できれば、施策の優先順位を整理しやすくなります。 チームが一丸となって「今必要な施策」を実施できるようになるので、スピーディーに課題の改善や顧客満足度アップを実現できるでしょう。

ビギニャー

へぇー!カスタマージャーニーマップって、企業の関係者にもお客さまにもメリットがあるんですね!


シニヤン

そうなんだよぉ。マーケティングのときはもちろん、お客さまによりよいサービスを提供して顧客体験を向上させたいときも大切なんだよ。


ビギニャー

すごいっ!とっても便利なんですね!さっそく作り方を教えてほしいです!

カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップは、縦軸と横軸に項目を設定し、表形式で情報をまとめていくことが大切です。ここからは、6つのステップでカスタマージャーニーマップの作成手順をご紹介します。

  • ペルソナの設定
  • 検討したい項目を決める(縦軸)
  • ペルソナがたどるプロセスをまとめる(横軸)
  • ペルソナの行動と接点を埋める
  • ペルソナの感情を加える
  • 課題の把握・分析

各プロセスのポイントをみてみましょう。

ペルソナの設定

カスタマージャーニーマップの作成には、ペルソナの設定が欠かせません。ペルソナとは、商品やサービスを利用してほしいお客さま像のことです。年齢や性別だけではなく、趣味、価値観、ライフスタイル、行動パターンなどの細かい情報も設定する点がペルソナの特徴です。

たとえば、ペルソナは以下のように設定されます。

「30代の丸の内に勤めるOLで、ダイエットはしているが食事制限や過度なトレーニングはしたくない。一人暮らしで外食が多いため、食べながら痩せられる方法を探している」

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検討したい項目を決める(縦軸)

次に、カスタマージャーニーマップで検討したい項目を決めましょう。設定した項目は、縦軸に記入しておきます。必ず入れておきたい項目は、お客さまの「行動」「接点」「感情」「課題」の4つです。

ほかにも、商品や分析したい内容に合わせて「思考」「シーン」などのオリジナルの項目を追加してもよいでしょう。もし、いきなりカスタマージャーニーマップを作成するのが難しいと感じる場合は、後述するテンプレートを活用することがおすすめです。

ペルソナがたどるプロセスをまとめる(横軸)

次に、ペルソナがたどるプロセスを時系列にまとめて横軸に記入します。横軸に入れる項目は、商品やペルソナによってさまざまです。たとえば、以下のようなプロセスが想定されるでしょう。

  • 認知、興味
  • 情報収集、比較検討
  • 来店、お試し
  • 購入
  • 継続、拡散 

購入前だけではなく、購入後のプロセスも踏まえて項目を設定するとより効果的です。

ペルソナの行動と接点を埋める

次に、プロセスごとのペルソナの行動と接点を埋めていきましょう。CRMの情報やアンケートなども活用しながら、事実に基づいた情報を書くことが大切です。たとえば、以下のように埋めていくことができます。

行動と接点の例

【認知・興味】

  • 行動→好きな芸能人が使っていて興味を抱いた
  • 接点→テレビ、SNS

【情報収集・比較検討】

  • 行動→公式サイトを見て、素材へのこだわりを知った。口コミで類似商品と比較した。
  • 接点→ブランドサイト、キュレーションサイト

ペルソナの感情を加える

ペルソナの行動を洗い出したら、そこに想定される感情を加えていきましょう。イラストや絵文字、折れ線グラフなどを活用すると、視覚的にも感情の変化を把握しやすくなります。

このとき、企業にとって都合のいい解釈にならないように気をつけることが大切です。プラスの感情だけではなく、マイナスの感情もしっかりと書いていきましょう。

課題の把握・分析

最後にまとめた情報をもとに課題を把握し、解決策を分析します。お客さまが不安に感じたり不満を抱いたりしそうなポイントを洗い出し、対応策と優先順位を一つずつ考えていきましょう。

たとえば、そもそも商品が認知されていないという場合は、「インフルエンサーマーケティングに力を入れる」が有効な施策として考えられます。

比較したときに他社商品に負けてしまう場合は、「価格や品質を見直してみる」などの解決策が見えてくるかもしれません。企業やブランドが目指す最終的なゴールを見据え、必要な施策を具体的に検討しましょう。

>>課題の発見や分析、施策の実行まで一気通貫で支援可能なスペシャリストに相談してみる

ビギニャー

なるほどー!お客さまの行動や感情をなんとなくイメージしながら施策を考えていましたが、こうやってまとめると見やすくて思考が整理しやすくなりますっ!


シニヤン

ビギニャー君がカスタマージャーニーマップを活用できるように、1つ事例を見せておこうかな。


ビギニャー

先輩……、素敵っ!

カスタマージャーニーマップの活用事例と使い方

カスタマージャーニーマップの作成事例を見て、実際にどのようなものを作成すればいいかイメージしてみましょう。今回は、パソコンの購入を検討している20代男性をペルソナに設定して、仕事用のパソコンを販売する企業のカスタマージャーニーマップを事例としてご紹介します。

顧客のフェーズごとに行動や接点、感情をまとめ、課題を明確にしました。その課題に対し、どのような施策を実施すればいいのかを導き出しています。もちろん、分析する項目やフェーズ、どこまで分析を深めるかは企業によってさまざまです。

画像はあくまでイメージなので、事例を参考にしつつ、自社の目的や商材に合わせてカスタマージャーニーマップを作成してみましょう。

シニヤン

もしもいきなりカスタマージャーニーマップを作成するのが難しいと感じるなら、テンプレートを活用するという手もあるよ。


ビギニャー

テンプレートなんてあるんですか!?それは便利そうです……!

おすすめテンプレートツール

カスタマージャーニーマップを作成するときは、テンプレートやツールを活用することがおすすめです。ここでは、おすすめのテンプレートやツールを4つご紹介します。

  • 企業が配布しているテンプレート
  • Miro
  • 15VISION
  • Lucidchart

各テンプレートを詳しくみてみましょう。

企業が配布しているテンプレート

マーケティング企業のなかには、カスタマージャーニーマップのテンプレートを配布しているところがあります。使いやすいテンプレートがあれば、ダウンロードして活用するとよいでしょう。

15VISION

15VISIONでは、Keynoteで作成したカスタマージャーニーマップを提供しています。基本の型にのっとったシンプルなテンプレートを提供しているため、気軽にカスタマージャーニーマップを作成してみたい企業におすすめです。

Lucidchart

Lucidchartは、さまざまな図をオンライン上で作成・共有するツールです。簡単操作でありながらさまざまなバリエーションの図形を作成できるので、初心者から上級者まで幅広いスキルの方におすすめです。

ビギニャー

こんなに便利なテンプレートやツールがあったなんて……!さっそく活用してカスタマージャーニーマップを作ってみようかな!


シニヤン

でもビギニャー君。カスタマージャーニーを作るときは注意点を意識しないと、正しい分析やマッピングができなから気をつけてね。


ビギニャー

え!?ただ情報を整理すればいいわけじゃないんですか……?先輩、注意点を詳しく教えてください

カスタマージャーニーマップ作成時の注意点

ここでは、カスタマージャーニーマップを作るときに意識したいポイントを4つ紹介します。

  • シンプルでわかりやすいゴールを設定する
  • 異なる視点を持つメンバーで作成する
  • 現状を正しく理解する
  • すべての接点を網羅しようとしない

それぞれを詳しく説明します。

シンプルでわかりやすいゴールを設定する

カスタマージャーニーマップを作成するときは、必ずゴール(KGI)を明確にしておきましょう。ゴールがわからないと、どのような点が課題で、どのように解決していけばいいかを判断できなくなってしまうからです。

たとえば、「ECサイトの会員数を増やしたい場合」と「ECサイトの売上を上げたい場合」では、カスタマージャーニーマップの内容や視点が変わってきますよね。

また、「アクセス数を2倍にしてECサイトの会員数を増やしつつ、売上も伸ばす」のような複雑なゴール設定はおすすめしません。マップの内容も複雑になってしまい、分析に時間がかかるためです。そのため、シンプルかつ明確なゴールを設定することが大切なのです。

異なる視点を持つメンバーで作成する

カスタマージャーニーマップを作成するときは、異なる視点を持つ複数人のメンバーで取り組むことをおすすめします。個人や特定の部署内だけで作成すると、見解が偏ってしまうためです。

部署を横断し、さまざまな視点を持つメンバーが一緒に作成すれば、意見が偏りにくくなって正確な分析ができます。また、自分だけでは見つけられなかった新しい気付きを得られるでしょう。

現状を正しく理解する

カスタマージャーニーマップを作る際は、どうしても関係者の希望が反映されやすくなります。商品へのこだわりや熱意が強すぎるあまり、お客さま目線に立つことを忘れてしまう場合もあるかもしれません。

希望や願望が反映されると正しく分析できなくなってしまうので、現状を正しく理解して事実をベースとしてマッピングすることが大切です。CRMに蓄積したデータやECサイトの情報、アンケートなどを活用しながらマッピングしていくと、正確なカスタマージャーニーマップの作成が目指せます。

すべての接点を網羅しようとしない

カスタマージャーニーマップを作成するときは、必要な接点に焦点を当てて分析を進めることが大切です。お客さまとの接点が多様化した現在、マス広告やSNS、Web広告、店頭など多くの接点が想定されるようになりました。

しかし、すべての接点を網羅しようとすると、ペルソナの行動と関連性のない接点まで分析する必要が出てきます。それでは時間がかかりすぎてほかの施策にかけられる時間が減ってしまうので、分析する接点はペルソナの行動と関連性が深いものに絞りましょう。

ビギニャー

だいぶカスタマージャーニーマップについてわかってきました!先輩、ありがとうございます!


シニヤン

よかったよかった。最後に、カスタマージャーニーを活用する方法について説明するね。作っただけで満足しないように注意しようね!

カスタマージャーニーマップの活用方法

最後に、作成したカスタマージャーニーマップを活用する方法やコツをご紹介します。

  • 課題の発見に活用
  • 解決策の考案
  • 定期的に内容を見直す

3つの活用法を詳しく解説します。

課題の発見に活用

まずは、カスタマージャーニーマップで自社の課題を発見しましょう。考えられる課題は企業や製品によって大きく変わってきますが、たとえば以下のようなポイントに課題が隠されている可能性が高いです。

〈カスタマージャーニーマップで見つけられる課題〉

  • KPI:各接点に明確な目標が設定されていない、KPIを設定しているのに具体的な施策がない
  • 偶然に頼った接点:「たまたま訪問した」など、偶然に頼った接点
  • 根拠のない思考や行動:「なんとなく購入した」など、根拠のないペルソナの思考や行動

あくまで一例ですが、上記のような問題が発見されたときは、施策に課題がある可能性が高いです。そのポイントを重点的に改善していくと、より効果的な商品開発やマーケティングができるようになるでしょう。

解決策の考案

課題が発見できたら、解決策を考案していきましょう。課題が複数発生した場合は、難易度が低い問題から順番に解決していくと成果が上がりやすいですし、スムーズに対応できます。

ちなみに、前半よりも後半のフェーズ、オンラインよりもオフラインのチャネルのほうが解決の難易度が低いとされています。あわせて、解決策の実行によってお客さまの行動がどのように変わるのかを表す「理想カスタマージャーニーマップ」を作ってみてもよいでしょう。

定期的に内容を見直す

作成したカスタマージャーニーマップは、定期的に見直してください。お客さまの思考や行動は時代や流行などに影響されやすく、常に変化しているためです。期間に明確な決まりはありませんが、半年や1年経過するごとに内容を見直せると、現実とのギャップが少ないカスタマージャーニーマップに仕上がります。

なお、関連するフレームワークとして、お客さまの心理的な変化をフェーズ化して分析する「マーケティングファネル」というものもあります。施策の強化や改善を目指すときは、あわせて活用してみてくださいね。

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