ビジネスにおいて、自社・商材独自の価値を高め、顧客やさまざまなステークホルダーからの信頼・共感を獲得する「ブランディング」は重要性の高い施策です。
ブランディング戦略を考えるときに、「独自の世界観を発信しよう」「ロゴやデザインを一新しよう」など、対外的な施策を真っ先に思い浮かべる方は少なくありません。しかし、本当にブランディングを成功させるには、まず企業内の意識から変えていく必要があります。
本記事では、ホテル・宿泊業を展開する株式会社グリーンズ様が、全社イベントを通じてインナーブランディングを成功させた事例を紹介します。
INDEX目次
インナーブランディングの重要性
インナーブランディングとは、企業が従業員に対して行うブランディング活動です。従業員が企業のビジョンや価値観を深く理解し、誇りを持って働けるようになれば、結果的に顧客に対するサービス品質向上につながります。
「お客様に自社ブランドを好きになってもらいたい」「共感してほしい」という目標がある場合は、まず従業員に会社・ブランドを好きになってもらいましょう。従業員の「帰属意識」が高まれば、経営方針やブランドの世界観を体現しやすくなり、対外的なブランディング(アウターブランディング)によい影響を与えます。
特に成長企業では、拡大に伴って増加する従業員全体に、会社の方針や経営層の想いを浸透させることが重要な経営課題となります。
株式会社グリーンズ様のブランディング成功事例

ここでは、インナーブランディングの成功事例として、ゴンドラがイベント企画・運営を支援させていただいた株式会社グリーンズ様(以下、グリーンズ様)の事例を紹介します。
グリーンズ様は、全国に118施設のホテルを展開する企業です。急速な店舗拡大を続けるなか、全社一丸となって目標やビジョンを達成するために、全社イベントの企画・運営をゴンドラへご相談いただきました。
ご依頼の目的
今回、ゴンドラにイベント企画・運営をご依頼いただいた目的は以下のとおりです。
- 組織の一体感を醸成したい
- 社員ロイヤリティを向上したい
- 挑戦的な組織文化を創出したい
イベントを通じて企業への理解度を向上させ、一人ひとりに当事者意識を持ってもらいたいという大きな狙いがありました。
取り組みの内容
グリーンズ様のご要望を叶えるために、ゴンドラでは3つの取り組みをしました。
- 徹底的な調査・ヒアリング
- オーダーメイドの提案
- 企業の一員として一気通貫で伴走支援
今回の支援が成功した背景には、「お客様をとことん好きになる」というゴンドラの理念がありました。
以下で、各取り組みの詳細を紹介します。
徹底的な調査・ヒアリング

まずは、「なぜしたいのですか?」「その背景には何があるのですか?」という深い部分までのヒアリングを重ねました。グリーンズ様もまだ言語化できていない隠れたニーズまで引き出すために、企業以上に企業を知り、自分事としてとらえる姿勢を貫きました。
打ち合わせの内容だけではなく、企業の風土や文化まで理解するために、継続的なお付き合いのなかで蓄積してきた知見も活用。工数よりもお客様のことを考えて向き合う姿勢を貫いた結果、「こんなに打ち合わせをしてくれた会社はなかった」とご好評いただきました。
オーダーメイドの提案
当社には、戦略や商材に決まったテンプレートはありません。1社1社の現状や課題に合せたオーダーメイドの支援を強みとしているので、今回もグリーンズ様の信念・企業風土に合わせたオリジナルの提案を行いました。
コンセプト「Greens Praise 賞賛から始めよう」は、グリーンズ様の経営方針「働く楽しさを実現する」を深く理解したうえで提案。通常は複数案の検討を重ねる同社でも、「社長も含めてすんなりと決まった」ほど、企業特性にフィットした提案となりました。
そのなかで特にご好評いただいたのは、「参加者の感情の変化」まで丁寧に設計した点です。
イベントを複数のフェーズに分けて、「ここではこういう感情にしたい」という踏み込んだ提案をしました。運営側だけではなく、参加者側の目線にも立つことで、企業が気づけていない価値まで発見・提案できました。
企業の一員として一気通貫で伴走支援
「支援会社」ではなく、「株式会社グリーンズの経営企画室の一員」として伴走。約半年間の定例会議を通じて信頼関係を築き、企画立案から当日の運営まで一貫してサポートしました。
定例会議は隔週で実施し、チャットツールを通じた密なコミュニケーションで、気軽に質問・相談できる体制を構築。「工数よりもお客様のことを考える姿勢」で向き合いました。
各種印刷物や記念品制作などの付随業務、映像制作や舞台監督といった外部業者との連絡についても一任いただき、ご担当者様の負担軽減に成功しています。
取り組みの成果
今回のイベント企画・運営を通じて得られた成果は、以下の3つです。
- 定性的・定量的な評価
- 組織文化への波及効果
- 長期的なブランド価値の向上
それぞれについて詳しく紹介します。
定量的・定性的な評価

イベント開催後のアンケートでは、以下のように参加者から多くの声が寄せられました。
- 「イベントに満足」(9割超)
- 「モチベーションが高まった」(8割)
- 「今後もアワードにチャレンジしたい」(6割)
- 「賞賛」の文化醸成に対する強い支持
イベント開催後は、ご担当者様からも「すごくよかった」とご満足の声をいただいております。
企業側だけではなく、参加者にとっても有意義な時間にすることができました。
組織文化への波及効果
もともと、自発的な発言・表現が控えめな企業文化でしたが、イベント後は参加者から以下のような声が上がりました。
- 賞賛する風土を広めたい
- アワードに挑戦したい
今回のイベントは、単発の催しで終わるのではなく、「賞賛文化」という組織変革のきっかけとしても機能しました。企業の組織文化への波及効果は、インナーブランディングの大きな一歩といえるでしょう。
長期的なブランド価値の向上
このプロジェクトが生み出した大きな成果として、長期的なブランド価値向上につながる好循環の基盤構築も挙げられます。
真摯で情熱的なサービス提供は顧客の心を動かし、良好な関係性の構築(カスタマーエンゲージメント)に直結します。ただし、このような良質なサービスを提供するには、内部から外部への自然な価値伝播がもたらす「ブランディングの力」が不可欠です。
今回、従業員のモチベーション向上や賞賛する風土を定着させる第一歩をを踏み出したことで、組織全体のエンゲージメント向上(インナーブランディング)を実現できました。
従業員一人ひとりが会社を好きになることで、企業が掲げるブランドプロミス(顧客への約束)をより真摯に、より情熱を持って体現できるようになっていくでしょう。
株式会社グリーンズ 経営企画室 市野様のコメント

今回、新中期経営計画の浸透と従業員のモチベーション向上を目指すなかで、ゴンドラさんには半年にわたって経営企画室の一員として伴走していただきました。
自社だけでは負担が大きい領域も当事者として対応していただいたことで、社内のリソースを最小限に押さえつつ、全社規模のイベントを開催することができたと思います。
開催後のアンケートでは、9割を超える参加者から「イベントに満足している」と回答いただけました。また、コンセプト「Greens Praise 賞賛から始めよう」の狙い通りに、仲間を賞賛する風土づくりにつながったと考えています。
ゴンドラさんの強みは、各企業に寄り添った伴走型支援だと思います。引き続き、深いお付き合いを通じて理解を深めていただきながら提案をしていただきたいです。
事例からわかる成功ポイント
今回の事例が成果につながったポイントとして、以下の2点が挙げられます。
- 深い理解と信頼関係による「パートナー化」
- 本質的課題発見とオーダーメイドの提案
ポイントは、お客様をとことん好きになり、目標達成に向けて当事者と同じ熱量で取り組んだ点です。
それぞれどのようなことなのか、詳しくみていきましょう。
深い理解と信頼関係による「パートナー化」
このプロジェクトの最大の成功要因は、発注者と受注者という関係を超え、「パートナー・仲間としての関係性」を築けたことです。
特に評価いただいた点は、次の3つです。
- 工数を気にせず向き合う姿勢が「本気度」として伝わった
- 当事者意識を持って「経営企画室の一員」として業務に参加した
- 一緒に作り上げる姿勢で半年間伴走し続けた
従来の専門領域を超えた分野での受注となりましたが、複数回の丁寧なヒアリングと、クライアント自身以上にクライアントのことを考える姿勢が信頼獲得につながりました。
本質的課題発見とオーダーメイドの提案
表面的な要望の裏にある”本質的なニーズ”を発見し、企業が言語化できていなかった価値を提案できた点もポイントでした。
テンプレートのような決まりきった運用ではなく、以下のように背景や意図を汲み取って、100%オリジナルのイベント構成を提案した点が高く評価されました。
- 徹底的なヒアリングで企業特性まで理解
- 目の前の課題だけでなく、根本的な課題・ニーズに焦点
- 一過性のイベントではなく、組織変革のきっかけとして機能する提案
「今後3年間目標に向かっていくためにどう行動すればいいのか」を考えられる、未来志向のイベントとして設計。表面的な課題の解決はもちろんのこと、企業の本質的な成長にもつなげられた点が、伴走型支援の真価といえるでしょう。
なぜ「お客様を好きになる」ことが重要なのか

今回の株式会社グリーンズ様の支援が成功した背景には、「お客様を好きになる」という考え方がありました。
ゴンドラの全ての支援の根底にあるこの理念は、業界や企業規模を問わず、すべてのビジネスにおいて重要なものだと考えています。
以下では、その理由について詳しく説明します。
ブランディングの本質は関係性にある
ブランディングの本質は、表面的な価値提供だけでは築けない深い関係性にあります。お客様(グリーンズ様)を「好きになる」ことで、本質的な課題やニーズを見つけられ、結果として差別化された価値提案が可能になるのです。
実際に今回は、グリーンズ様の企業文化まで深く理解することで、「参加者の感情の変化まで設計する」という他にはない提案が生まれました。この深い理解こそが、価格競争に巻き込まれない独自性の基盤となり、長期的な信頼関係構築につながります。
カスタマーエンゲージメントの源泉となる
「お客様を好きになること」は、カスタマーエンゲージメント実現への第一歩です。そして、この「好きになる」という考え方は、より大きなビジネスの好循環を生み出します。
従業員が自分の会社を好きになれば、その想いは必ず顧客へのサービスに表れるでしょう。会社への帰属意識が高い従業員ほど、顧客に対しても自然と愛情を持って接することができるからです。
今回は、ゴンドラが愛情を持ってグリーンズ様を支援させていただいたことで、従業員が抱く自社への愛情を育むお手伝いができました。今後、従業員の皆さまがいっそうブランドプロミスを体現していくことで、さらなる企業ブランド価値・カスタマーエンゲージメントの向上につながっていくでしょう。
帰属意識から始まるエンゲージメント戦略

お客様への愛情を起点とした真摯な取り組みは、最終的に大きなブランディング効果を生み出します。愛情を持って向き合うからこそ見えてくる本質的な課題や、そこから生まれる深いつながりが、結果的に企業の成長に直結するのです。
このように愛情は、ブランディングや顧客との関係性向上(カスタマーエンゲージメント)の基盤となります。「ブランディング戦略に挑戦したい」「他社との差別化を強化したい」というときは、ぜひすべての基本となる「帰属意識」を高める取り組みにも挑戦してみてください。
統合型支援を行っているゴンドラでは、インナーブランディングからカスタマーエンゲージメント向上まで、幅広い領域での伴走支援が可能です。
お客様へのアプローチはもちろんのこと、社内へのアプローチもお気軽にご相談ください。各社の課題に適した戦略を提案いたします。
一社一社に適したカスタマーエンゲージメント戦略をご提案しますので、お気軽にご相談ください。
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LIFT編集部
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