SNSは、顧客とリアルタイムで双方向のコミュニケーションができる重要なマーケティングチャネルです。単なる情報発信の場ではなく、顧客との継続的な関係を構築し、エンゲージメントとロイヤルティを高める重要な接点となってきました。
特に、近年は認知拡大の手段としてのSNS活用が注目されています。しかし、戦略的に運用することで、顧客インサイトの収集やコミュニティ形成、ブランド体験の向上といった効果も得られます。
株式会社ゴンドラでも、SNSを活用したマーケティング施策を支援してきました。この記事では、SNS戦略を成功につなげるポイントと、実際に成果をあげた事例を紹介します。
SNS戦略を成功させるポイント
SNSで成果をあげるには、アカウント運用だけではなく、ビジネス全体のKGIから逆算した戦略設計が欠かせません。
ここでは、ゴンドラがSNS施策を成功へ導くために重視している5つのポイントを、マーケティングのスペシャリストとしての観点から解説します。
1.統合的な戦略を設計する
SNS戦略では、多くの企業が「フォロワー数」や「エンゲージメント率」といったSNS指標を追いがちです。
しかし、それだけではビジネス成果につながりません。なぜなら、フォロワーが10万人いても、そのうち自社商品に興味がある人が1%しかいなければ、実質的なターゲットは1,000人となるためです。
さらに、その1,000人が実際に購買行動を起こすかは別問題です。「フォロワー数は多いのに売上が伸びない」という状況は、まさにこのギャップから生まれます。
大切なのは、“SNSが顧客体験のどのフェーズでどのような役割を果たすべきか”を明確にすることです。具体的な手順は、次のとおりです。

自社顧客の行動を分析する
まずは、自社顧客の行動パターンや各段階での転換率を把握しましょう。ブランドを認知したユーザーがどれほど興味を抱いてくれるか、どれくらい購入に至るかは、以下のように商材やブランドによって大きく異なるためです。
- 高単価商品を扱うブランド
→比較検討期間が長くなり、遷移率が低下する傾向にある - 低単価・日用品を扱うブランド
→初回購入のハードルが低く、認知から購入までの遷移率が高い傾向にある - BtoB企業
→認知から購買までの接触回数が10回以上になることも珍しくない
このような自社特有の行動パターンを把握するには、MA(マーケティングオートメーション)やCRMツールを活用したデータの整理・分析が必要です。散在する顧客データを統合し、「どの接点で離脱が多いのか」「どのコンテンツが次の段階への移行を促進しているのか」を可視化しましょう。
データ基盤の構築と活用方法については、CRMデータ活用事例記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
ファネル全体を見据えた数値設定を行う
次に、分析した顧客行動をもとに、マーケティングファネル全体の目標値を設定していきましょう。
SNS時代の顧客は、認知後すぐに購買せず、複数の情報源を行き来しながら何度も比較を繰り返します。そのため、従来の「認知→興味→比較検討→購買→リピート」という直線的なファネルモデルでは、現代の消費者行動を正確に捉えることはできません。
しかし、目標から逆算して必要なリーチ数や施策を設計するうえで、ファネルを「各段階で必要な接点の設計図」として活用する考え方は依然として重要です。
例えば、ECサイトを運営するA社で「月間売上1,000万円達成」を目指す場合、以下のように目標数値を設定できます。
| ファネル段階 | 前段階からの転換率 | 目標数値 |
| ① 認知 | - | 5万人 |
| ② 興味・探索 | 反応率34% | 1万7,000人(アカウント接触) |
| ③ 比較検討 | 遷移率30% | 5,100人(サイト訪問) |
| ④ 購買 | CVR10% | 510人 |
| ⑤ リピート | リピート率40% | 204人 |
ターゲットは企業がコントロールできない情報源も参照するため、完全な直線的移動は期待できません。平均3〜5回の接触を経てから購入に至ることをふまえて、各段階で複数回の接点を設計しましょう。
近年は、「ユーザーのUGC投稿が次の顧客の認知・比較検討に影響する」という循環構造が前提となっています。自社の顧客行動をしっかりと理解したうえで、KGIから逆算しながら数値目標を設計しましょう。
施策を最適化する
数値目標が明確になったら、各ファネルで実施する施策を決めていきます。
ターゲットによって、最適なタッチポイント(SNS媒体)や施策は変わってきます。ここでも自社顧客の特性をふまえたうえで、どのようなアプローチをすればよいのか考えていきましょう。
各ファネルにおいて有効だと考えられる施策の一例は、表のとおりです。
| ファネル段階 | 施策例 | 重要な指標 | ポイント |
| ① 認知 | ・広告配信 ・インフルエンサーの活用 ・話題性の高いコンテンツの配信 | ・リーチ数 ・インプレッション | ターゲット層への大量露出を目指す |
| ② 興味・探索 | ・日々の投稿 ・ライブ配信 | ・フォロワー数 ・エンゲージメント率 | 何度も見たくなるコンテンツを提供する |
| ③ 比較検討 | ・商品詳細の投稿 ・UGC、レビューの活用 | ・リンククリック数 ・保存数 | 購買の決め手となる情報を提供する |
| ④ 購買 | ・キャンペーンの実施 ・クーポンの配信 ・初回限定割引 | ・CV数 ・購入率 ・売上 | 購買の障壁・不安を取り除く |
| ⑤ リピート・推奨 | ・アフターフォロー ・UGC促進 | ・リピート率 ・UGC投稿数 | ロイヤルティを向上させ、口コミを獲得する |
各施策の役割をファネルに紐づけ、顧客が行ったり来たりすることを前提に統合的に設計することが、SNS戦略成功のカギです。
企業が一方的に発信するだけではなく、カンフル剤としてUGCやキャンペーン、インフルエンサーを活用したバズ狙いコンテンツ、広告を組み合わせながら成果をあげていきましょう。
2. 顧客の声を収集・分析する
「バズった投稿があったから成功」
「なんとなくエンゲージメントが高いからこの方向性で」
このような、感覚や経験則に頼った運用では、再現性のある成果は生まれません。
SNSは顧客インサイトの宝庫です。投稿への反応やコメント内容、フォロワー属性など、さまざまなデータを分析することで、「顧客が何に興味を持ち、何を求めているか」を知ることができます。
収集・分析するべきデータとしては、以下のようなものが挙げられます。
| データの種類 | 分析する指標 | 分析できる内容 |
| エンゲージメントデータ | ・いいね ・コメント ・保存 ・シェア数 | どのコンテンツが顧客の心を動かしているのか |
| 投稿パフォーマンス | ・リーチ ・インプレッション ・クリック率 | どの切り口・フォーマットが効果的か |
| コメント・メンション内容 | ・頻出キーワード ・感情分析 | 顧客が抱えている課題・不満・期待 |
| フォロワー属性 | ・年齢 ・性別 ・地域 ・興味関心 | ターゲットとのズレ、新しいセグメント |
| 競合分析 | ・他社の投稿頻度 ・内容 ・反応率 | 市場でのポジショニング、差別化ポイント |
例えば、ある食品メーカーの分析で以下の内容を分析できたとします。
- 投稿A(商品紹介):リーチ10,000、エンゲージメント率2%
- 投稿B(レシピ紹介):リーチ5,000、エンゲージメント率8%、保存数300
一見すると投稿Aの方がリーチは大きいですが、エンゲージメント率と保存数から、「商品そのもの」より「商品を使ったレシピ」に興味を持たれていることがわかります。この場合は、レシピコンテンツを強化すればフォロワーの満足度を高められるかもしれません。
このように、ターゲットの行動からインサイトを把握することで、エンゲージメントを高めるコンテンツ設計と継続的な改善が可能になります。
3. 双方向コミュニケーションを設計する
企業が発信するコンテンツだけでは、限界があります。どれだけ丁寧に自社ブランドや商材のよさを伝えても、「企業が言っている宣伝文句」という前提がつきまとい、100%信頼されることは難しいためです。
顧客からの信頼を得るには、中立的な第三者視点からの自発的な情報発信、つまりUGC(ユーザー生成コンテンツ)が不可欠です。商品への感想やレビューブログ・動画などのUGCコンテンツは、以下のように多くのメリットをもたらします。
- 購買促進:公式アカウントでの引用・二次拡散が、購買の最後の一押しに
- コスト削減:LPやオウンドメディアへの転載により、コンテンツ制作コストを削減
- コミュニティ形成:ファン同士のつながりが、さらなる拡散とロイヤルティ向上を生む
- デジタル最適化:サイテーションの増加が、SEO・LLMO両面で評価向上につながる
UGCを獲得するには、一方的な発信ではなく、顧客との対話を重視する必要があります。企業が作った「UGC風コンテンツ」ではなく、ユーザーのリアルな投稿を活用することで、信頼性と共感性を大幅に向上させることが可能です。
4. 他チャネルと連携させる
「SNSでフォロワーは増えたが、サイトへの流入が少ない」「SNS経由の購入率が低い」といった課題の多くは、チャネル間の分断が原因です。
チャネル間の分断は、以下の3つの要因によって発生します。
- チャネルによってトーンが異なる
- チャネルごとに異なったメッセージを発信している
- デザインに統一性がない
近年、顧客とのタッチポイントは、SNSやメール、LINE、Webサイト、店舗というように急速に増加しています。上記のように、複数の接点が存在するなかで各チャネルがバラバラに動いていると、顧客は一貫性のない体験をすることになり、混乱や不信感を招きやすくなるのです。
ポイントは、「点」ではなく「線」で顧客との接点を設計することです。例えば、SNSで獲得した顧客を継続的なコミュニケーションチャネル(LINE)へ誘導し、クーポン配信でECサイトへ遷移させるという戦略が考えられます。
各チャネルの役割を明確にして、一貫したメッセージとスムーズな導線を提供することで、認知から購買までの離脱を最小化できます。
5. ロイヤルティを向上させる施策を実施する
SNS運用で見落とされがちなのが、「フォロワー数とロイヤルティは別の指標」という点です。
フォロワーが増えても、ブランドへの愛着や購買につながらなければ、ビジネスへの貢献は限定的となってしまいます。大切なのは、「獲得したフォロワーをどう自社顧客へ育成するか」です。フォロワーの育成には、目的に応じてアプローチ方法を変える必要があります。
例えば、SNSでキャンペーンを実施するときの、フォロワー獲得とロイヤルティ向上では最適な内容が異なります。
| 目的 | 有効なキャンペンの内容 |
| フォロワー獲得・認知向上 | ・プレゼントキャンペーン ・フォロー&リツイートキャンペーン →短期間での認知拡大、顧客基盤の拡大が目的。ハードルを下げ、幅広い層にリーチすることが大切。 |
| 関係強化・UGC創出 | ・写真コンテスト ・レビュー投稿キャンペーン →コミュニティ感の醸成やロイヤルティ向上につなげることが目的。相互コミュニケーションを取りながら、ユーザー行動を促すことが大切。 |
前者は「量」、後者は「質」を重視する施策です。認知拡大フェーズでは前者、ファン育成フェーズでは後者と、目的に応じて使い分けることで、SNSが真の資産になります。
SNS運用でエンゲージメントを向上させた事例
SNS活用を成功に導くカギは、顧客一人ひとりとの関係性を深め、ブランドへの愛着を育てることです。そのためには、単にフォロワー数を増やすだけでなく、質の高いエンゲージメントを生み出す施策設計が欠かせません。
ここでは、Instagram・Xならではの双方向コミュニケーションを活かし、認知拡大・エンゲージメント向上を成功させた3つの事例を紹介します。
【事例1】決済サービス会社|認知からCRMまで包括的に支援
「Instagram運用による認知拡大とエンゲージメント向上」に取り組んだ、決済サービス会社の事例を紹介します。
フォロワー数の増加と認知獲得を実現するために、企画~数値分析までワンストップで対応。広告やCRMとあわせて、包括的に支援を行っています。
実施した打ち手(支援内容)
クライアント企業のご要望をふまえ、ゴンドラはInstagramと親和性の高いクリエイティブ制作、広告・CRMと組み合わせた包括的な支援を実施。密でありながら負担をかけない安心感のあるコミュニケーションを通じて、ブランドの魅力を伝えつつ、顧客との接点を創出しています。
その一環として、フォロー&コメントした人の中から景品をプレゼントするキャンペーンを実施しました。
- デザイン制作・投稿・レポート作成までワンストップで対応
- 景品表示法や個人情報取扱い、偽アカウント対策を徹底
- 集計不備がないよう、事前に全体設計や応募フローを入念に整備
企画から結果報告までお任せいただき、クライアント企業の負担を最小限に抑えました。
成果
フォロー&コメントキャンペーンでは2,500件以上の応募を獲得し、フォロワーの大幅な増加に成功しました。さらに、キャンペーンの成果を分析して次回施策への改善提案につなげることで、継続的なエンゲージメント向上を目指しています。
現在も、Instagram運用を軸に広告やCRMと連携した包括的な支援を継続し、ブランドの魅力を伝えながら顧客との接点創出に取り組んでいます。
【事例2】某水産加工品メーカー|SNSを起点とした統合支援で認知向上
「販促活動を通じて購入意欲を高めたいが、そのための知識がない」という課題を抱えていた、某水産加工品メーカーの事例を紹介します。
ゴンドラではSNS運用だけでなく、ブランディングからイベント、販促クリエイティブ制作までトータルで支援。認知から行動促進までの一貫した顧客体験を設計しました。
実施した打ち手(支援内容)
クライアント企業のご要望に合わせて、PR施策とX運用支援を組み合わせた統合支援を提案しました。
具体的な取り組みは、以下のとおりです。
- ブランドコンセプト開発
- メディア向け試食会の企画・運営
- 販促用クリエイティブ制作
- ユーザーコミュニケーションを重視したX運用
PR施策やキャンペーンの実施からUGC活用、購買促進まで、顧客接点全体を最適化。週1回のオンラインミーティングを通じて施策の進捗確認と改善提案を継続し、ワンストップで対応しました。
成果
取り組みの結果、支援前は100人以下だったXのフォロワーが、2万8,000人以上まで増加しました。さらに、業界からの反応が増加し、BtoB顧客からのお問い合わせが増えました。
単発の施策に終わるのではなく、「プロモーションのやり方がまったくわからなかった状態」から、継続的に改善を重ねられる体制の構築に成功しています。
こちらの事例については、以下の記事で詳しく紹介しております。
▼統合支援で認知向上に成功した事例を見てみる
トライデントシーフード・ジャパン合同会社 様
水産加工業のブランド価値向上に従事!戦略づくりから一気通貫のブランドマーケティング支援を実施
https://www.gon-dola.com/show_case/7192/
ゴンドラのSNS運用支援
ゴンドラでは、部署横断の「SNSPJ」を立ち上げ、最新のSNSトレンドや運用ノウハウを組織全体で共有する体制を構築しています。SNS運用を「担当者任せ」にせず、組織的なナレッジとして蓄積することで、提案から運用まで一貫した品質を実現しています。
ここでは、ゴンドラのSNS運用支援の特徴をみていきましょう。
KGIから逆算した戦略設計
多くの企業がSNS運用で陥る罠は、「フォロワー数」「エンゲージメント率」といったSNS指標だけを追ってしまうことです。しかし、本来見るべきはビジネス全体のKGIです。
ゴンドラでは、認知から購買までのファネル全体から戦略を設計。SNSがどの段階でどう貢献するかを明確にすることで、経営層も納得できる成果を生みだします。
データ整備と分析を起点にした運用
「バズった投稿を真似る」「感覚で投稿する」運用では、再現性がありません。
競合分析・自社分析から顧客インサイトを抽出し、なぜエンゲージメントが高まるのかを言語化することが重要です。ゴンドラは仮説検証を繰り返すことで、確実に成果を積み上げます。
他チャネルとの連携による顧客体験の最適化
SNSで認知を獲得しても、その後の導線が途切れていては機会損失です。
ゴンドラでは、CRM(LINE)や広告、メールなど複数チャネルと連携し、顧客がどの接点から入ってきても一貫した体験を提供できることを重視。各チャネルの役割を明確にすることで、購買までスムーズに誘導します。
エンゲージメント重視のファンコミュニケーション
一時的なバズは、炎上リスクと隣り合わせです。
ゴンドラが重視するのは、質の高いコミュニケーションによる関係性の深化。バズりを狙いすぎない「営業しない運用」で信頼を積み重ね、長期的なエンゲージメントとロイヤルティを育てます。
ビジネス成果につながるSNS施策ならゴンドラ
SNS運用が、「やっているだけ」の状態になっている企業は少なくありません。
「投稿は続けているが成果が見えない」
「フォロワーは増えても売上につながらない」
「担当者の負担が大きく継続が困難」
このような課題の根本的な原因は、SNSを単体施策で考えてしまっていることにあります。
SNSはあくまで顧客接点のひとつであり、最終的なビジネス成果へつなげるには、適切な運用設計と他チャネルとの連携が不可欠です。認知から購買までの顧客動線を設計し、各チャネルの役割を明確にすることで、SNSは「利益を生む資産」へと変わります。
ゴンドラは、SNS運用だけでなく、CRM基盤の構築や広告運用、データ分析まで統合的なマーケティング支援が可能です。部分最適ではなく全体最適の視点で、ビジネスゴールから逆算した施策を設計します。
- SNSをビジネス成果につなげたい
- 他チャネルとの連携を強化したい
- 運用体制を構築したい
このような課題をお持ちの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年2月時点の情報にもとづいています。
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WRITING 執筆
田中 亮
CM制作からWeb広告へ転身。大手代理店への出向などを通じ、数多くのナショナルクライアント案件を経験してきた。金融や不動産、流通など多岐にわたる業界の大型プロジェクト実績が強み。
現在は培ってきた多角的な視点を活かして、大手金融機関の大規模案件からデータの利活用提案まで、CRMプランニングを軸にSNS運用や戦略立案といった幅広い領域でクライアントの事業成長を総合的に支援している。


