OOHで認知拡大に挑戦!MASTRUMを使ったブランディング広告配信レポート記事

OOHで認知拡大に挑戦!MASTRUMを使ったブランディング広告配信レポート記事

デジタル施策が主流となった近年においても、OOH(屋外広告)は高い認知獲得効果を発揮します。実際、株式会社ジェイアール東日本企画(以下、jeki)と株式会社野村総合研究所の研究によると、一部のケースでは「デジタル×OOH」の組み合わせが他メディアを上回る成果を出すことがわかりました。※

しかし、効果測定の難しさや費用対効果への疑問、出稿のハードルの高さなどから、「OOHに興味はあるけれど挑戦しにくい」と考えている企業は多いかもしれません。

株式会社ゴンドラ(以下、ゴンドラ)では、株式会社ジェイアール東日本企画が提供するデジタルサイネージプラットフォーム「MASTRUM(マストラム)」を活用し、自社の認知向上とブランディングを目的とした広告を配信しました。

この記事では、実際のOOH出稿の流れや配信成果について紹介します。

プロジェクト概要

今回のプロジェクトは、以下の内容で実施されました。

項目詳細
配信媒体MASTRUM(JR東日本 まど上チャンネル)
配信路線山手線、横須賀線・総武線快速
配信期間第1弾 7月28日〜8月3日(朝帯 〜10時)第2弾 8月18日〜8月24日(夜帯 18時〜)
配信面数各期間 1万8,990面

MASTRUM配信の流れ

OOH広告の配信プロセスは、具体的にどのように進んでいくのでしょうか?

今回の配信について、クライアント側としてゴンドラ マーケティング担当の渡辺さん、そしてMASTRUM担当者の小田さんに、実際のプロセスを詳しく伺っていきましょう。

写真左から
マーケティング室 渡辺さん
MASTRUM事業部 小田さん

小田さん:
今回は、BtoB企業であるゴンドラの認知度向上とブランディング強化を目的とした配信でした。ターゲットは30代から50代のビジネスパーソン、特に男性層をメインに設定し、首都圏の主要路線である山手線と横須賀線・総武線快速で配信を実施しています。

MASTRUMは、朝帯(5:00am - 10:00am)、昼帯(10:00am - 6:00pm)、夜帯(6:00pm - 12:00am)と配信時間が指定できます。今回は、通勤・帰宅のシーンでの広告効果検証を目的に、第一弾では朝帯、第二弾では夜帯を指定して比較を行いました。

全体の流れとしては、まずターゲット分析から始まり、クリエイティブ制作、意匠審査・入稿、配信実施、そして配信後の効果測定とレポート作成という流れで進めました。

1. データに基づく配信戦略の設計

渡辺さん:
当社の課題として、BtoB企業としての認知度がまだまだ不足しているという点がありました。そこで、より幅広いビジネスパーソンに企業名を知ってもらい、ブランディングを強化していこうと考えたんです。

今回MASTRUMを選んだ理由は、首都圏の主要路線を利用するビジネスパーソンに効率的にリーチできるからです。デジタルサイネージなので、印象に残りやすい動画クリエイティブで広告配信できる点も魅力的でした。

小田さん:
ご依頼内容を伺って、まずターゲット分析から始めました。

企業認知とブランディングが目的ということでしたので、30代から50代のビジネスパーソン、特に男性層をメインターゲットに設定しました。配信時間については、朝の通勤時間帯と夜の帰宅時間帯に分けることで、より多くのビジネスパーソンにリーチできるよう設計しています。

2. クリエイティブ準備・意匠審査

小田さん:
通常は、ターゲット分析と配信設計を確定させてからクリエイティブの制作に入ります。今回は、もともと制作されていたブランディング用の動画があったので、そちらを転用することになりました。

スクリーン3面を使って動画を見せるのは初めてのケースということだったので、どのように配信するのがよいか、入念に説明/提案をしました。その中で、「動画だけではなく静止画もあったほうが伝えたいメッセージに繋がりやすい」ということをお伝えしました。

結果的に、3面のうち中央の1面は動画、両サイドに伝えたいメッセージを2面に設置することに決定。ブランディング動画に盛り込めなかった強調したいポイントも載せられて、面白い使い方になったと考えています。

渡辺さん:
MASTRUM特有の3画面が並んでいる掲載面について、「同じ画像を3枚並べるべきなのか」「静止画と動画を組み合わせたほうがよいかもしれない」など、面構成のアドバイスをいただけたのは助かりました。

特に、動画とCTA付き静止画を組み合わせることで、動画だけでは難しかった訴求ができた点は嬉しかったですね。

動画を準備する段階から事前に相談することで目線合わせができましたし、媒体ならではのアドバイスも受けられ、パフォーマンスが出しやすくなると感じました。MASTRUM出稿用に新しくクリエイティブを用意したい場合は、その段階から連携できるとよいかなと思います。

小田さん:
動画の準備完了後は、jekiに意匠審査を依頼して、基準に適合しているかのチェックと承認をしていただきます。

審査依頼はシステム化されていないので、メールでjekiに送り、そのあと各媒体へ審査を振り分ける仕組みです。例えば、MASTRUMではセブン‐イレブンの店頭でも広告を配信できるのですが、そこに掲載する場合はjekiからセブン‐イレブン側へ審査を依頼する流れになります。

審査自体は、2〜3営業日で完了することが一般的です。配信は必ず月曜日開始となるため、逆算すると、クリエイティブ完成から配信開始まで大体7〜9営業日ほどかかります

審査に通らなければクリエイティブの見直しが必要になるので、スケジュールには余裕を持たせていました。

3. 配信実施・管理

小田さん:
配信終了後は、MASTRUMからレポートが提出される形式で終了報告がありますが、配信中に日次の報告はありません。

そのため、「イメージ通り配信されているのか」「どのような層に見られているのか」などを把握するために、広告主の皆さまに実地調査を推奨しています。場合によっては、自分で足を運んで配信状況を確認しに行くこともありますね。

渡辺さん:
私も、実際に山手線に乗ったとき、自社の広告が流れているのを目にしました。

正直、自分たちの広告が車内で流れているのを見ると、やはり感慨深いものがありましたね。自社広告には従業員満足度(ES)を向上させる効果がある、と聞いたことがありますが、今回身をもって体験できました。周囲の乗客の方々がどう反応しているのかも気になって、ついつい観察してしまいました。

駅や時間帯によって客層や混雑具合が大きく変わるので、実地調査をするとレポートの数字に納得感が生まれますし、「どういう属性の人たちが、どの時間帯に見ているのか」ということも把握できました。

4. 成果レポートの作成・提案

小田さん:
配信終了後は、配信レポートを共有しました。インプレッション(推定視認者数)、視聴者属性などを可視化したレポートになっています。朝帯と夜帯でどのような属性の方にリーチできたのか、具体的な数値でお示ししています。

渡辺さん: 
レポートでは性別や年代別の視聴者属性まで確認できるので、「本当に狙ったターゲット層にリーチできているのか」を確認できたのはよかったですね。OOH広告は効果測定が難しいというイメージがあったのですが、このように数値で可視化されると納得感がありました。

小田さん: 
レポートは、単に数値をお渡しするだけでなく、Webサイトへの影響分析も含めてご報告しています。Googleアナリティクス4(以下、GA4)やGoogleサーチコンソール(以下、サーチコンソール)のデータと照らし合わせることで、OOH広告がデジタル上の行動にどう影響したかをより詳しく検証できます。

MASTRUMでは柔軟な時間帯設定が可能

朝帯(5:00am - 10:00am)、昼帯(10:00am - 6:00pm)、夜帯(6:00pm - 12:00am)

小田さん:
MASTRUMの大きな特徴のひとつが、時間帯を柔軟に選択できる点です。

これまでのOOHは、1週間~1か月単位で買い切りの世界でした。つまり、ご購入いただいた期間は、ずっと広告を露出し続けるのが当たり前と考えられていたんですよね。しかし、デジタル化が進み広告の費用対効果がより重視されるようになった昨今は、OOHにも柔軟な出稿や明確な効果測定が求められるようになってきています。

このような広告主のニーズに応えるために、MASTRUMではデジタルOOHならではの柔軟な広告運用を可能にしています。配信するタイミングを制御できるので、ターゲット層が多い時間帯に配信を集中させるなど、戦略的な運用が可能です。

この仕組みにより、広告費のムダを抑えながら、費用対効果の検証・改善につなげやすくなるのです。

渡辺さん:
今回ゴンドラは朝・夜の両方で配信しましたが、特定の時間帯にターゲットが集中している企業であれば、時間帯を絞ることでよりコストパフォーマンスは高くなると思います。

必要な時間帯に集中して広告費を投下できるのは、マーケティング戦略の観点からも理にかなっていますよね。

MASTRUMで広告を配信してみた結果

配信実績

項目朝帯(7/28-8/3)夜帯(8/18-8/24)
配信面数1万8,990面1万8,990面
インプレッション数138万1,057回136万2,844回

小田さん:
シミュレーションで想定していたインプレッション数と実績値はほぼ一致しており、朝帯で約138万回、夜帯で約136万回、合計約274万回のインプレッションを獲得できました。想定通りの配信ができたといえます。

渡辺さん:
狙っていた層にはしっかり届いてるのではないかと感じています。

MASTRUMのレポートは、一見するといかようにも分析ができる数字です。しかし、GA4やサーチコンソールといったWeb解析ツールと一緒に見ることで、単なる推定からより深い考察へつなげられるんです。

私は業務内でツールを活用していたので、配信後の変化に気づけました。MASTRUM事業部では利用サポートや分析代行が可能なので、普段Web解析ツールになじみがない方でも、安心してご相談いただけると思います。

Webサイトへの影響

配信期間中のコーポレートサイトへの影響は、次のとおりです。

配信期間結果
7月最終週(7/28-8/3)※朝帯配信期間を含むアクティブユーザー数+43.84%(前年同週比 )
8月第4週(8/18-8/24)※夜帯配信期間アクティブユーザー数:+10.68%(前年同週比)

Googleからのブランド指名検索流入が増加傾向にあり、サーチコンソールでも「ゴンドラ」というキーワードでの検索・クリック数が増加していることが確認されました。

渡辺さん:
ここまで明確に数値が上がるとは思っていませんでした。

ただ、7月にウェビナーを開催していたこともあり、その影響も考慮する必要はありますね。ウェビナーページを除外したとしても、前年同週比でトップページの表示回数は45.39%、トップページへランディングしたアクティブユーザー数は43.84%向上しているので、認知拡大の目的は果たせたと考えています

小田さん:
結果分析から、全体のセッション数・アクティブユーザー数で流入はアップしていることから、OOH広告が指名検索の増加につながった可能性があります

「ゴンドラ」で検索してクリックした数値も増加傾向にあったので、車内広告で社名を目にした方が、後ほどGoogleで検索しているという行動が推測されます。認知拡大という目的に対して、一定の成果が出ていることが示唆されているでしょう。

ウェビナーの影響を差し引いても検索流入数は増加していますので、広告の効果はあったと考えています。

レポート分析から導く「効果測定のポイント」

従来、OOH広告の効果測定は難しいとされてきましたが、今回は「MASTRUM×Web分析」を通じて詳細な効果測定を実施できました。

小田さん:
HPへの影響を調べる方法として、まずGA4で前年同週比較を行いました。配信期間前後における、セッション数やユーザー数の変化を確認しました。

また、サーチコンソールでは指名検索、つまり「ゴンドラ」というキーワードでの検索数やクリック数の変化もみています。これらのデータを配信期間前後で比較することで、OOH広告がデジタル上の行動にどう影響したかを検証できました。

渡辺さん:
レポートだけでは「配信結果」しかわかりませんでしたが、Web解析ツールと組み合わせることで、「ユーザーのどのような行動につながったか」まで知れたのはよかったと思います。

小田さん:
より確実に広告の効果を測定するには、アスキング調査も有効です。例えば、首都圏に所在地がある既存取引先の方々にアンケートを実施して、「MASTRUMの広告を見ましたか?」「どのような印象を持ちましたか?」といった質問をすることで、実際の視認率や印象を定量的に把握できます。

ゴンドラでは、こういった効果測定のサポートや、レポートの結果を反映した次の打ち手を提案することも可能です。

ブランディングから購買促進へ。広がるOOH活用

小田さん:
今回は短期間の施策でしたが、広報系のブランディングには長期目線での配信が有効です。

例えば、年周記念のブランディング配信は、OOHの効果的な活用例として挙げられます。実際、設立40周年記念の際にOOHを活用した企業様の例では、商材やブランド名を売るだけではなく認知拡大にも成功しました。

こうした長期施策による継続的な接触は、認知拡大やブランド価値を向上させ、最終的に指名検索などのCPA(顧客獲得単価)に間接的に貢献します。

渡辺さん:
一度の施策で終わらせるのではなく、定期的に配信することで、ブランドの想起率を高めていくことが重要なのですね。

小田さん:
そうですね。それと、OOHと相性がよい戦略として、購買促進も押さえておきたいところです。

jekiとNRTの共同研究※では、若年層をターゲットに「購入意向」をKPIとした場合、デジタル施策とOOH施策を組み合わせた戦略が効果的だという事実がわかりました。つまり、OOHはブランディングはもちろんのこと、購買促進にも効果的なのです。

デジタルでターゲティング精度を高めながら、OOHで生活動線上での接触機会を確保する。若年層の購買行動へアプローチしたいときは、この組み合わせが効果的だといえます。

渡辺さん:
ブランディングにとどまらず、OOHの活用方法は多様化してきているんですね。

小田さん:
また、OOH Tokyo Conference 2025というイベントでも、OOHはテレビやデジタル広告と組み合わせると、効果が大幅に跳ね上がることが報告されました。

例えば、朝の通勤時に車内でMASTRUMを見て、日中はYouTubeやSNS、夜は自宅のテレビで同じ会社の広告に出会う。こうして違う場所で何度も接触することで、「この会社、よく見かけるな。ちゃんとした会社なんだろうな」という信頼感や親近感が自然と生まれてくるんです。

今の時代、OOHは単独で使うよりも統合プランニングの一環として活用したほうが効果的です。単発ではなく継続的に、そして他の施策と一緒に使っていただくと、より高い成果を期待できると思います。

OOH×デジタル統合マーケティングの可能性

従来、OOH広告は「効果測定が難しい」という理由で敬遠されることもありました。しかし、適切な指標設定と分析手法を組み合わせれば、デジタル施策との相乗効果を可視化することは可能です。

特に、認知拡大・ブランディングや購買促進を目的としている場合、オフラインでの大規模なリーチとオンラインでの行動変容を組み合わせて評価することで、マーケティング効果を総合的に測定しやすくなります

ゴンドラでは、ご相談いただいた方にMASTRUMの詳細なレポートや具体的な効果測定の手法、貴社に最適なOOH戦略をお伝えしています。OOHに興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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