【AWA2025レポート】OOHに求められる新たな価値─「データ×体験」で進化するブランド戦略─

【AWA2025レポート】OOHに求められる新たな価値─「データ×体験」で進化するブランド戦略─

2025年12月2日、Advertising Week Asia 2025で開催されたセッション「OOHの未来 〜移動体験の中にある多様な価値とは〜」に、モデレーターとして株式会社ゴンドラの小田が登壇しました。

セッションでは、メディアオーナーとしてOOHに深く関わる三井不動産株式会社(以下、三井不動産)と、OOH市場を牽引する株式会社ジェイアール東日本企画(以下、jeki)が、広告主・メディア・プラットフォームそれぞれの視点からOOHの未来について語りました。

「テレビCMの素材をそのままOOHで流すだけでは、もったいない」
三井不動産の関原氏が語った内容には、広告主がOOHに求める本質的な価値が込められています。

OOHも効果測定ができるようになり、データで「誰に届いているか」が見えるようになった現在、広告主が次に期待するのは、OOHでしか実現できない表現と体験です。本記事では、セッションで語られた内容をもとに、OOH活用の現状と可能性を解説します。

OOH市場が拡大している理由

マーケティング戦略においてOOHは、オフラインでアプローチできる代表的な手法として、長年活用されてきました。

しかし同時に、「効果測定が困難」「誰に届いているかわからない」という課題を抱えていたことも事実です。ROIの可視化が求められる現代のマーケティング環境において、このような測定の難しさは、投資判断の大きな障壁となっていました。

しかし現在、この状況が大きく変わりつつあります。デジタル技術の進化により、OOH広告市場が再び注目を集めているのです。

特に、デジタルOOH(DOOH)市場は2022年から2027年にかけて約1.7倍の成長※が見込まれており、マーケティング戦略における重要性が急速に高まっています。

その要因として考えられるのが、以下の3点です。

※出典:株式会社CARTA HOLDINGS|CARTA HOLDINGS、デジタルサイネージ広告市場調査を実施~2023年のデジタルサイネージ広告市場規模は801億円の見通し、2027年には1,396億円と予測~

生活者の行動が変わった

近年、駅のホームや街中で目にする広告をSNSに投稿する行動が一般化してきました。

  • 印象的な広告をInstagramのストーリーズに投稿する
  • 渋谷のビジョンの前で記念撮影をする

上記のような行動は、もはや珍しいものではなくなっています。

OOHは、今や“見られるだけのメディア”から、“拡散の起点になるメディア”へと変化しています。この「リアルな空間での出会いがSNS上での二次的な接触を生む構造」が、OOHの価値を大きく押し上げているのです。

効果測定ができるようになった

もうひとつの大きな変化が、効果の可視化です。

従来、OOH広告は「何人が見たか」を測ることが困難で、投資判断の根拠に乏しいという課題がありました。しかし現在、デジタル技術の進化により、インプレッション(推定視認者)数やターゲット含有率、さらには広告接触後の行動まで、さまざまなデータで効果を測れるようになっています。

効果測定の進化やメディアオーナーのメジャメントにより、ROIの説明責任が求められる環境下でも、根拠に基づいた「投資判断」を進めやすくなってきているのです。

「面」ではなく「人」に届けられるようになった

これまでのOOH広告は、駅や街の「面(配信する場所)」を買うものでした。「新宿駅は1日300万人が利用する」「渋谷は若者が多い」といった、場所の特性をもとに出稿を判断していたわけです。

しかし近年は、さまざまなデータと連携し「その場所に、自社のターゲット層がどれだけいるか」を可視化できるOOHプラットフォームが登場しています。

例えば、jekiが提供する「MASTRUM」では、位置情報と興味関心データを掛け合わせることで、ターゲットのライフスタイルに寄り添った配信が可能に。オフィスワーカーをターゲットにした場合、ビジネス街では通常の120%超の効率で配信できるケースもあるといいます。

さらに時間帯別のデータでは、朝の通勤時間帯を1とした場合、昼は1.3、夜は1.1という結果が得られました。これは、昼間に外回りの営業担当や商談に向かうビジネスパーソンが移動しているため。特にBtoB商材にとって、昼間は見逃せない接点になります。

このように、勘や経験則ではなくデータに基づいて投資判断できるようになったことが、OOHへの投資を後押ししているのです。

ゴンドラ社では、実際にMASTRUMを使ってブランディング広告の配信を行い、レポート記事を掲載しております。

広告主がOOHに期待する“本当の価値”

効果測定ができるようになったことは、確かに大きな前進です。しかし、広告主が求めているのはそれだけではありません。

三井不動産の関原氏は、広告主としてこれからのOOHに求める価値について以下のようにしました。

デジタルとアナログの融合

関原氏は、「物理的な街の空間に飛び込んだ際のアナログな質感を大事にしたい」と語りました。デジタルサイネージの鮮やかな映像が、古いビルの壁や街路樹の緑と混ざり合う。そのOOHならではの「違和感」や「馴染み」が、人の記憶に残るといいます。

現在、多くの広告主がテレビCMの素材をそのままOOHに流用している状況です。

しかし、OOHには空間の一部として存在するからこそ生まれる表現があります。今後のOOH戦略には、設置場所の周囲環境を事前に確認し、街の風景と調和する、あるいは際立つクリエイティブを設計することが求められています。

クリエイティブの実験場

従来のOOHには、以下のようにさまざまな制約がありました。

  • 音が出ない
  • 接触時間が短い
  • 移動中という特殊な状況下で視認する

関原氏は、こうした制約を逆手に取った「OOHだからこそ映えるクリエイティブ」を追求することに価値があると考えています。例えば、「音がない環境だからこそ視覚的インパクトを強める」「短い接触時間でも記憶に残るシンプルなメッセージに絞る」といった工夫が挙げられます。

単にリーチを稼ぐメディアではなく、新しい表現を試す場としてOOHを活用する視点を持つことが重要になっていくでしょう。

体験への入り口

三井不動産は、MIYASHITA PARKで世界的アーティストとコラボした際、デジタルサイネージだけでなく、音楽イベント、物販、飲食を組み合わせた空間を展開しました。

関原氏は、「OOHで興味を持った人が、その場で体験できる仕組みづくりに大きな可能性を感じている」といいます。

  • 店舗やイベント、ECサイトへの導線として設計する
  • QRコードや位置情報を活用し、広告接触から次のアクションまでをシームレスにつなぐ設計にする

上記のように、OOHを単独の施策として終わらせずブランド体験への「入り口」として機能させると、より高い成果を得られる可能性を秘めています。

移動時間の価値を変える試みにも注目

データ活用により「誰に届けるか」が明確になった一方で、「どう届けるか」という課題も浮上しています。そもそも、移動者の多くはスマートフォンを見ているため、OOHに視線を向けてもらうこと自体が困難です。

この課題に対するひとつの答えが、コンテンツを活用することです。乗車してスマートフォンを見る「空白の時間」に、楽しいコンテンツや新しい発見を提供できれば、広告は邪魔なものではなく、歓迎されるものになります。

例えば、jekiの「TRAIN TV」では、「今だけ、ここだけ、電車だけ」というコンセプトで、電車内のドア上にコンテンツを配信。コンテンツを充実させることで、「スキップできない」を「見たくなる」に変える仕組みを作りました。

スマートフォンが「いつでもどこでも能動的に見られる」メディアだとすれば、交通OOHはアルゴリズムに最適化された情報だけではない「今だけ、ここだけ、偶然出会う」メディアです。車内という特殊な環境に合わせたクリエイティブを開発することで、広告の受容性を高められるでしょう。

データと表現、両方を活かす

セッションを通じて見えてきたのは、OOHに求められる役割が多様化しているということです。

1つ目は、Web広告のようにコントロールできる運用型メディアとしての側面です。ターゲティング精度が上がり効果測定できるようになったことで、投資判断の根拠を求める広告主にとってOOHは「説明しやすい施策」になりました。

2つ目は、ブランドの世界観を街全体で表現する体験型メディアとしての側面です。関原氏が語ったように、デジタルとアナログの融合や空間を使った体験設計など、数値では測りきれない価値を生み出す役割があります。

ポイントは、この2つを対立させないことです。データで効率を高めつつ、人の心を動かす表現を作ることの両立が、これからのOOH戦略の成否を左右します。

効率と体験、両立するOOH戦略へ

デジタルサイネージを設置したり広告を配信したりするだけでは、OOHの可能性を最大限活かせているとはいえません。

データで効率化しながら、その場所でしか作れない表現を追求する。そして、広告を見た人を、リアルな体験まで誘導する。こうしたUX全体を見据えた設計が、これからのOOH活用には求められます。

現代の広告主がOOHに期待しているのは、「測定可能な効率性」と「測定できない体験価値」の両立です。この両輪を回すことで、OOHは次世代のブランド戦略における重要なチャネルとして、さらに進化していくでしょう。

このような高度なOOH戦略を展開するには、以下のように多くのプロセスを統合的に進める必要があります。

  • 緻密なターゲット分析
  • 最適な配信場所の選定
  • ブランドの世界観を反映したクリエイティブ制作
  • 広告接触後の体験設計

ゴンドラでは、MASTRUMをはじめとするOOHプラットフォームの運用支援から、クリエイティブ開発、効果測定まで、一気通貫でサポートしています。

さらに、デジタル広告との連携により、単体の施策では実現できない相乗効果を創出。認知拡大やブランディング、獲得強化まで幅広く支援が可能です。

OOH活用にご興味がある方、マーケティング施策の効果をさらに高めたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

MASTRUMの効果を最大化できる“ゴンドラならではの強み”については、こちらの記事をご覧ください。

※本記事は、2026年2月時点の情報にもとづいています。最新の情報は、各媒体でご確認ください。

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